お祝い上手になる

2018.02.26 月

お祝い上手

第2話 いい台所道具をひとつ/自立祝い

から40年以上前のこと。親元を離れ上京し、しばらくして鉄のフライパンを買った。何かで見知って欲しくなったのだ。
 最初に空焚き、くず野菜を炒めての油慣らし。使い終わった後はよく乾かしさっと油をひいてしまう。教科書通りを繰り返したフライパンは本当に使いよく育ち、料理上手な気分になれた。柄も鉄だったからミトンを作った記憶もある。それだけで実家の台所より進んでいると思っていた。『聡明な女は料理がうまい』が出版されたのが1976年。20代になりたての私にとって桐島洋子さんは神だった。
 要するに携帯も家電もない学生で時間がたくさんあり、その時代の気分に乗っかっていたのだ。当然のことながら思い上がりも憧れも現実に流され今に至っているわけで、一生ものだったはずのフライパンもその後、まだ学生だった妹にあげてしまった。
 ただ初々しい記憶は心に棲みつき、お祝いアレルギーを克服した今、一人暮らしを始める近しい若者にフライパンを贈りたくて仕方ない。その思考回路は「俺の若い時はなぁ〜」とおのれの話に持っていくおっさんと変わらない。しかしこれまでの人生で自分の食べるものを自分でふつうに作れるのがとても大事ということや、いい台所道具が料理を支え楽しくしてくれることは身にしみている。問題は該当する姪も息子もすでにアラサー。しかもなかなか家を出て行こうとしない。

 

鉄フライパン「極(きわめ)」。直径20、24、26、28㎝の4種類。¥5,076〜7,020
新生活のための台所道具といえばきりがないけれど、あえてひとつ、がいい感じ。ふきんをラッピング代わりに添えて。

んな話をグリーンショップの商品担当Hさんにしたら「私も20代で就職したての頃、鉄のフライパンを買いました」と言うので驚いた。これはいける! ふたまわり近く歳が離れても、人の気持ちをつかむ力は衰えていなかったのだ。さらに聞けばHさんにはフライパンの手入れがうまくいかずいい思い出がない。その経験をもとに探して巡り合ったのがリバーライトの「極」なのだそう。
 「最初の空焚きもいらないし、熱処理加工でサビにくくしてあるので使い終わりに油を塗る必要もない。金属タワシも使える。私でも簡単に使いこなせています」とHさん。木のハンドルは手にやさしく、痛んだら交換ができる。最初の失敗あってこそのセレクションは、実用的だ。うんと熱を蓄えぱっと放出して料理をおいしく仕上げる鉄ならではの良さはそのままだから、毎日使いたくなる。初心者だけでなく私もちょっと欲しい。

Kは「暮しの手帖」、Rは「ロイヤルホテル」の頭文字。KRの横に刻まれているのはエーデルワイス。硬さと弾力が包丁にぴったりの、オーストリアのステンレス鋼を使っていることに由来している。右利き用・左利き用が選べるのも嬉しい。¥9,396

リーンショップにはフレッシャーに渡したい台所道具がまだある。「KR包丁」だ。
 こちらは今から50年前に『暮しの手帖』と、当時料理ページを担当してくださっていた大阪ロイヤルホテルの料理長・常原久弥さん、そして創業1792年の日本橋の木屋が家庭用の万能包丁として共同開発。90年代に入ってサイズなどを調整して販売してきたロングセラーだ。
 まずは刃や柄が細身で小回りが利き、剥いたり切ったりがしやすいことに「さすが」と思う。レモンなど酸っぱいものに使った後はすぐ洗うようにするぐらいで錆は来ない。あとはステンレスと樹脂を重ね合わせている柄の水気をちゃんと拭うぐらい。切れ味の良さも持続するけれど、これだけは手入れしないと衰えてくる。シャープナーが必要になるが、私にはとっておきがある。今は誰も住んでいない実家の台所にある、母が使っていた砥石だ。新しい包丁とおばあちゃんの砥石。早くプレゼントしたいものである。ちなみに刃物は「縁が切れる」として贈るのをためらう方もおられるそう。その一方で「未来を切り開く」から縁起の良いもの、ととられる方も。気になる場合は5円玉やかたい石を添えてプレゼントする方法もあると聞く。
                         文 田中真理子

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