「鎭子さんの時代」、第7話は前回に引き続き「グリーンクラブ」のことをご紹介したいと思います。
「グリーンクラブ」は、鎭子さんの仕事仲間や友達を中心とした気の置けない女性たちの集まりでした。「老後みんなで暮せる家をつくること」を夢見、目標に掲げつつ、月に1回程度集まってはおしゃべりをしたり、旅行に出かけたり。鎭子さんが大事に残していた3冊の大学ノート、昭和29年〜38年までの「グリーンクラブ」の記録帳に残された写真や文章からは当時の女性たちの生き生きとした様子が時を超えて伝わってきます。
昭和30年前後の日本はまさに高度経済成長期にさしかかろうとしていました。しかしその一方で女性が参政権を得てまだ10年足らず。当時の女性、とりわけ仕事を持つ人たちをとりまく環境はたやすいものではなかったと想像できます。
そんな中でもモノクロ写真の彼女たちはとにかくはつらつとした笑顔。そして着るものに気を使い、おしゃれを楽しんでいるように見えます。カーディガンとひだスカート、千鳥格子のスーツ、胸元のブローチ、そして短い前髪。当時大流行した映画「旅情」のキャサリン・ヘップバーンの装いに似た雰囲気の人もいます。「暮しの手帖」で紹介した浴衣地のワンピースを着た鎭子さんもいます。鎭子さんの妹の芳子さんはトラッドなスタイルが好きだったようです。今回はそんな写真を何枚かピックアップしてご覧いただきたいと思います。
華やかではないけれどキリッとして清潔感のあるおしゃれ。朝の連続ドラマ「とと姉ちゃん」で小橋3姉妹が着ているブラウスやスカートが気になっている方にはきっと胸キュンなはずです!
(田中真理子 文)